相続法改正②
相続法改正で配偶者居住権が新設されます。
相続が生じたときに、亡くなった被相続人の配偶者が居住のために不動産を取得した場合、その他の預金が取得できなくなったり、そもそも資産が不動産しかなく、不動産を配偶者が取得することができない場合など、妻が夫の死後に老後資金に困ったり、住む場所がなくなったりすることがありました。
改正法では、このような事態を回避するために配偶者居住権を新設しました。
配偶者居住権とは、被相続人の所有する不動産に配偶者が居住していた場合に、その不動産を無償で使用収益することのできる権利です。長期の居住権と短期の居住権があります。
配偶者居住権が認められるのは、①遺産分割で合意した場合、②配偶者居住権が遺贈の目的とされた場合です。相続人間で合意があるか、遺言で遺贈するとされていることが必要です。
この2つがなかったとしても、審判で裁判所が配偶者居住権を認めることができます。
配偶者が居住権を取得する希望を裁判所に申し出があった場合に、所有者の不利益を考慮しても、配偶者に居住権を認める必要があるかを考慮して審判を裁判所が出します。
配偶者短期居住権は、遺産分割協議、調停が終わるまでの間など、すぐに配偶者が出て行かなければいけないとすると配偶者にとって酷なので、配偶者に短期の居住権を認めるものです。
このような制度が新設されますが、残された配偶者の生活のことを考えるのであれば、住居、生活費のことは視野に入れて、遺言を残しておくなど生前にきちんとした対応をしておくべきでしょう。