弾劾証拠
目次
先日、民事訴訟の証人尋問で弾劾証拠を使う機会がありました。
民事訴訟においては、証拠は尋問期日の相当期間前までに提出する必要があります。
通常は、尋問の前の最後の期日までに提出します。
尋問直前に提出すると、場合によっては時機に遅れた攻撃防御方法とされる可能性もあります。
例外として弾劾証拠については、尋問当日や尋問後に提出することができます。
弾劾証拠は、供述の信用性を下げるために使うことからこのような取扱いができるということで
す。
つまり、事実認定をするための証拠としては使えないということになります。
有力な証拠があるのであれば、通常はより以前に提出するでしょうし、それほど活用することはな
いと一般的には言われていますし、事実そうだと思います。
では、どんな場面で利用するかというと、証拠が発見されるタイミングが遅かった、証拠として
提出することについて証拠の保有者が嫌がっていた、そもそも証明しなければならない事実との関
係で弱い、などがあるでしょう。
供述の弾劾のためにのみ利用するのが弾劾証拠ですが、例えば録音などが出てきたとき、実質的に
は事実認定に使ってもおかしくないような証拠が出ることがあります。
このような場合には相手代理人からかなりの反論が予想されます。裁判官も採用を躊躇することも
あります。
いろいろ考えていくと、弾劾証拠は使い方がなかなか難しく、使うかどうか尋問の途中まで悩みな
がら尋問を行うことが多いでしょう。
ただ、あくまで証拠は事実を認定するためのものとして使うべきで、弾劾証拠を提出して成功した
としても、必ずしも結果に結びつくのかというと、そうでもないかなというのが実感です。
やはり、証拠は事前からその証拠の持つ意味を考えて、立証のために適切に提出していくのが原則
でしょう。
それを踏まえて、弾劾証拠として使わざるを得ない場合には、尋問の流れを見ながら効果的に使え
ればいいと思います。
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